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妊娠中の殿部から脚にかけての痛みで動くのが困難(30代女性)

妊娠8ヶ月。5日前に骨盤ベルトを締めようとした瞬間から、左下半身の痛みが始まった。

左のお尻の外側から、太腿の後面を通ってふくらはぎの後面、踵のあたりまでのツーンとした鋭い激痛があり、歩行や体勢を変える動作も困難になっている。仰向けなど横になった姿勢でむしろ下肢の痛みは強くなる。また、座位で左の骨盤に荷重がかかると強い痛みを感じる。逆に、左の殿部を持ち上げるような体勢ですこし楽になる。どの体勢でも痛みがあり辛い状態で、むしろ立っているほうが痛みが少ない。くしゃみや咳でも痛みの増悪がある。体勢を変えるのに常に手で支えないといけないため、腕の筋肉も時々攣りそうになる。

この痛みがでる前の週に、左のふくらはぎがこむら返りを起こしている。また、悪阻がひどく吐き続けて背中の筋肉がガチガチに固まっているように感じる。

〈初診時の状態〉

来院時は前かがみ姿勢でゆっくりとした歩行。左足への荷重を避けている。

立位から座位などの体位変換が困難で、手で支えつつゆっくりと行っている状態。座位が辛いため、立ったまま問診を実施した。

座位、立位共に、左骨盤への荷重で左殿部、左下肢痛の増悪がみられた。

仰向けでも症状が強くなるが、股関節と膝関節を曲げた状態で痛みは弱くなる。

下肢の筋力と 皮膚感覚に異常は認められなかった。

足上げテスト(SLR)陰性、股関節後面に違和感を誘発。

咳での症状の誘発、増悪

仙腸関節負荷テストにより愁訴の誘発がみられた。

下肢の皮膚感覚、筋力共に正常。

〈初回〉

動きによる痛みの誘発が強いため、体位変換の補助などを入れながら慎重に施術に当たった。

左の骨盤の関節(仙腸関節)の動きの制限と、左の腸腰筋と呼ばれる腰部・骨盤内を走行する筋の過緊張、左の股関節の運動制限に対するアプローチを軸に施術を進めた。

施術後は、症状は6割ほど減少。重心の移動などによる痛みの誘発もなくなり、施術後に起き上がる動作は腕で支えなくとも行えた。問診時に立位で見られた前傾姿勢もない状態。

〈2回目来院時〉

歩行、体勢の変換がスムーズに行える状態で来院。

前回施術後は、体全体にだるさが出たが、2日目から症状がかなり改善しているのを実感した。

殿部の痛み自体はややあるが、痛みの質が鈍痛に変化しており、改善している感じがするとのこと。

まだ長時間の歩行では下肢の痛みが誘発される。

検査で誘発される痛みはほとんど消失している。

施術に加え、ストレッチの指導を行った。

〈3回目来院時〉

前回の施術後から殿部〜下肢の痛みはほぼ消失している状態を維持できているため、主訴に関してはメンテナンスへ切り換える。

体型と比較してお腹がかなり大きくなっているため、寝返りが打てず背中や肩がきついとのこと。肩、胸椎付近の筋緊張などに対する緩和操作を行った。

里帰り出産のため、産前の施術はここまでとした。

〈担当佐々木 コメント〉

妊娠後期から産後1-2ヶ月くらいまでの期間は骨盤内の関節が緩み、また骨盤周囲の筋肉の過緊張がみられます。このため、それまで経験しなかったような腰痛や下肢痛が出てくることがよくあります。この症例の場合、主に左の仙腸関節への力学的な負荷が周囲の痛みの原因となっていたため、この関節の機能回復を狙った施術で症状の改善がみられました。また、筋肉の緊張を伴う股関節の運動制限が確認されたため、可動域の回復を目的とした施術を行いました。このケースのように、骨盤内の関節に痛みがみられる場合は、単に骨盤ベルトなどで安定化を図っても効果が薄いこともあります。産前産後の腰痛や臀部痛、下肢の痛みがある場合は、カイロプラクターによる評価を受けられることをお勧めします。

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